東京オリンピック・パラリンピックで使われる次世代のエネルギーとは?|エネフィット

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2021.09.17

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東京オリンピック・パラリンピックで使われる次世代のエネルギーとは?

国は、エネルギー政策の基本的な方向性を示す「エネルギー基本計画」や、水素社会を実現するための「水素基本戦略」を策定しています。エネルギー改革として日本の施策や技術力を広く示すきっかけと位置づけられているのが東京オリンピック・パラリンピック2020です。今回、東京オリンピックでどのようなエネルギー施策が実施されたのかを調べてみました。

 

開催地、東京都では「スマートエネルギー都市の実現」を長期目標とし、東京オリンピック・パラリンピックに向けさまざまな取り組みがなされました。具体的には、都立競技場やバスの停留場にLED照明を採用し、エネルギー効率を高めるといった目に見える施策と、再生可能エネルギーの活用。たとえば、大会組織委員会は主要7会場に太陽光発電設備、4会場には太陽熱利用設備を導入しました。競技会場やプレスセンター、選手村といった主要施設で使用する電力は、100%再生可能エネルギーによるものとしています。また、多くのエネルギーを消費する選手村では、近隣の清掃工場でごみを焼却するときに発生する廃熱を利用するなどの取り組みが実施されました。さらに、選手村のエリア内には水素ステーションやパイプラインが設置。これにより、オリンピック後に改装して住宅を整備する際には水素エネルギーを活用した街づくりが可能となります。

 

水素は、エネルギーとして使うときにCO2(二酸化炭素)を排出しないという大きな特徴を持っています。CO2は地球温暖化にもっとも大きな影響を与える温室効果ガスであり、CO2排出量の削減はもはや地球全体の課題です。そのため、CO2排出量の多い化石燃料をはじめとする炭素エネルギーから脱却することが求められています。さらに、水素はさまざまな物質に含まれており、水や天然ガスといった多岐にわたる資源からつくり出すことが可能です。資源が少なく、石油など一次エネルギーの調達を海外からの輸入に頼っている日本にとっては、エネルギーの調達という面でも大きなメリットがあります。

 

脱炭素のためには、一次エネルギー供給のうち再生可能エネルギーの比率をアップすることが大切です。そして、日本が力を入れる水素は、究極のクリーンエネルギーともいわれています。水素は燃料電池自動車のほか、給湯器などにすでにエネルギーとして採用されており、いずれ水素での発電が実用化され、市街地全体へ水素からつくられた電力を供給できるようになれば、水素社会は大きく前進するでしょう。

 

東京オリンピック・パラリンピックは、選手の活躍の他に未来のエネルギー政策を体験できる場でもあり、今後、どんどん技術が進歩すれば私たちの暮らしに直接的に影響してくる日も近いかもしれません。今現在では、「水素社会」は身近に感じないですが、家庭で使っている電気はさまざまなエネルギー源によってできています。販売する電気に再生可能エネルギーの割合が高い電力会社も増えてきているので、チェックしてみるといいかもしれません。